水滴

もうどう表現すれば良いのかわからない。
わけのわからない意味の洪水が目の前にまで迫っているというのに
足が動こうとはしない。いや、動きたいと思えないのだ。
押し寄せる洪水に飲み込まれて、大洋まで流されたら
その広い空間に安心を覚えることができるのだろうか。

酔いつぶれた右手が注ぐ、あふれる勢いのワイン、

グラスからこぼれるいくつもの水滴に

生まれてからこれまでの自分の顔が映っている。

笑っている顔なんて一つもなかった。

どれもつまらなそうに、泣き出したいのを我慢する

いつもの俺みたいに、早く眠りたいって訴える顔。

テーブルに染み込むまでそんな顔たちに見つめられて

情けなくて、俺はまたワインを飲みつづける。

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By GloomyWind 2003/3/16
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